中学2年生も終わりかけのころ、こんな出来事がありました。
担任のN先生
「みなさん、今日はクラスのみんなのいいところを、それぞれこの紙に書いてください。」
「前から順番にまわすから、1枚ずつとって後ろの人にわたしてね。」
「ひとことずつで大丈夫ですよ。」
「書きおわったら、後ろから前のひとにまわしてください。」
N先生が、クラス名簿と名前のとなりが空欄になっている紙をくばりました。
クラスが少しざわつきました。
「えー、なんてかく?」
「まだ書けてなーい」
「おまえ、なに書いたんだよ?」
こんな言葉が飛び交いながらも、しだいにクラスはしーんとなりました。
この時に思ったことは、いまでも覚えています。
・いいところを書いていくのは、わくわくして楽しかったこと。
・あの子のハキハキしたところ、かっこいいなぁって思ったり。
・いいところがたくさんありすぎて、うまく言葉がまとまらなくて困ったこと。
・接点があまりなかった子には、なんて書いたらいいか正直戸惑ったこと。
・男子のいいところを書くのは、ちょっと照れくさくて恥ずかしかったこと。
・個性のはっきりしている子は、すぐに埋まったこと。
・見返してみると、ありきたりな言葉しか書けてなくて、ちょっぴり悲しかったこと。
N先生から「そろそろ書けましたか?」という言葉がかけられるまで、みんな夢中で書いていました。
普段はおしゃべりが絶えないうるさいクラスなので、静かな時間はめずらしいです。
みんなも楽しかったのかなって思います。
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それからちょっとして、
終業式が近くなった3月のある日。
さいごの「学級通信」が配られました。
14年経ったいまでも、わたしが大切にしているものです。
それは、「みんなのいいところ見つけたよ」
みなさんは2年2組で1年間を過ごしてきました。あと4日で2組ともお別れです。この1年間で、みんなのいいところは見つけられましたか?いいところを見つけられる人は、人とのコミュニケーションがうまくできる人です。・・・・・・・
こんな冒頭ではじまり、クラス全員のいいところが書き並べられていました。
N先生は、みんなのいいところをまとめて「学級通信」にしてくれていたんです。
もちろん、匿名です。だれが書いたかはわかりません。
クラスみんなのいいところを読むのは、とても楽しかったです。
じぶんが思いつかなった表現や、知らなかったあの子の素敵な一面も知ることができました。
そして、じぶんの欄をみるのがこわいような楽しみなような・・・
どきどきしながら、そーっと見てみました。
書かれていたことは、
「几帳面だけど話しているととても楽しいし、とても頼れる人。とても明るく話しやすい。優しい。百人一首がすごい。かわいい。おもしろい。スピーチが上手。内容を聞いていて面白かった。」
でした。
「えっ、そんなことないのに・・・」と思いつつも、
少なくともクラスのだれか1人は”そう”思ってくれている。
なんてことない言葉でも、目にみえる形でじぶんのいいところを確認できることが、うれしかったんです。
(ただ、百人一首って・・・!?笑。と思いました。おそらく百人一首大会で学年2番だったからかな。書いてくれた友達には心当たりが。)
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そして、こういう目に見えるものがあるって、実はとても大切なんじゃないかなって思いました。
いまでも大切にとってあるのは、ふとしたときに見返すことがあるからです。
・じぶんになんとなく自信がなくなってしまったとき。
・自分のことがよくわからなくなってしまったとき。
・思い出にひたりたくなったとき。
特別なにかなくても、「そういえば」って思う時は、
なんとなくエネルギーチャージや休養をしたいときなような気がします。
そんなときにその「学級通信」を目にいれると、ちょっぴり元気になるんです。
ほほえましいといいますか、こんなことあったな、こう思ってもらっていたんだなぁ・・・って。
「学級通信」以外にも、
卒業アルバムのメッセージや、
昔もらったお手紙とかも
見返してみると元気になれたりしませんか?
じぶんのいいなって思うところを書き出しておいたり、
人に褒めてもらったことをメモしておくのって、
あとあと自分がちょっぴり困ったときや
ごきげんになりたいなっていう時の使えるアイテムになると思います。
だめなループにハマってしまうと
いいところを考えても、なかなか思いつかなかったりするので、
自分が元気なときにいいところを保存しておくと、
わざわざ考えなくても、それを見るだけで
だめなループから抜け出せたり・・・
自分とはずっと付き合っていくことになるので、
ちょっとでも心地よくなるアイテムを知っておくといいですよね。
わたしも、じぶんをごきげんにするアイテムをもっと集めていこうと思います。
この学級通信をくださったN先生には感謝しています。
(先生には20歳のときに、「いまも大切な宝物です」とお礼を伝えることができました♪)